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KLX250とW650で行く、2泊3日の東北ツ-リング  2日目(松島~会津若松) [バイク]

~出発~
朝食を終えて支度を済まし、荷物を持って外に出てみれば「雨」。

早朝に激しい雨音で目が覚めたけど、朝食前に散策した時は霧雨だったけど、出発になれば雨は止むものと思ってたのに。

そのうち止む事を期待してウダウダと準備するも結局雨は止まず、9時半にやっと桜荘を出発する。

見送ってくれた女将さんも「のんびりしてるなあ」と呆れたことだろう。
出発.JPG


本日の目的地は会津若松にある会津野YH。
仙台市街を避けながら南下して阿武隈ラインを走り、磐梯吾妻スカイラインが本日のメインディッシュだ。
下道オンリーで約250キロ。朝がこんなにゆっくりで大丈夫か? と一抹の不安を覚える。

走り出してすぐに立ち寄ったコンビニが偶然にも旧野蒜駅で、ホームだけが残されている。
0902野蒜駅跡1032.JPG

コンビニに併設された展示室で震災の写真をみる。

これまで走ったところは、当然ながら被災した家やガレキは残っていない。
空き地が広がるのを見て、「前にはここに家とかあったのかなあ?」と想像して走ってた。

自分がいる野蒜駅も甚大な被害を受けて廃駅となったけど、震災時の痕跡は写真が留めるばかりだ。
1時間ばかりコーヒーを飲んだり、写真を見たりして過ごす。

コンビニを出発してしばらく行くと、被災した一軒家がそのまま残されていた。
もしかして、津波を忘れないように敢えて残しているのかな?

芭蕉の句で有名な松島に入る頃には雨も止んで、というか、道路が濡れていない。
東松島だけ雨が降ったみたい。豪雨とまではいかないが、かなり局地的な雨だったようだ。

松島の遊覧船乗り場付近は凄い賑わいだったけど、その先にある双観山展望台は数組の観光客しかいない。

展望台から松島を一望する。
0903松島1108.JPG


曇り空だったせいか、大した景色には思えない。
芭蕉が句に詠んだから、「ここがあの松島か!」と思ったけど、景色自体は天橋立の勝ちだな、なんて思うのは関西圏出身者の対抗心か?

それとも遊覧船巡りに魅力があるのか? 芭蕉が遊覧船に乗ったとは思えないけど。

展望台で「お昼どこで食べる?」なんて気が付けば時刻は11時半。
会津野YHは遥か先なので、ツーリングマップルに載っていた、丸森町にある金八寿司の「ライダー寿司」を目標にする。

混み気味の多賀城市を抜ければ交通量は一気に減る。仙台市を避けて県道10号線を走る。
曇りがちだった空はすっかり晴れ渡り、田園に映える稲穂の緑がまぶしい。

左手には緑地、右手には田園、その間をひたすら真っ直ぐ走る。
何も知らなければ、こんなに気持ちのいい道は滅多にないのだろうけど、かつては緑地には家が立ち並んでいたと思うと胸が痛む。

~阿武隈ライン~
国道349号線に入る頃には山に近づき、震災の爪跡を見かけなくなって正直ホッとする。

14時頃になって丸森町は金八寿司の近くまで到着。
思っていたよりも早く着いたけど、残念ながら寿司は13時まで。というか、のんびり寿司を食っている余裕はない。

「阿武隈ラインに行けば、店もあるやろ。ライン下りもある観光地やし。コンビニ休憩ばかりもつまらん」
と、阿武隈ラインに入る手前のコンビニ駐車場で決める。

しかし、甘かった。甘すぎた。

ライン下りということで、勝手に地元埼玉の長瀞を想像していたのだけど大間違い。
いけども、いけども、何にもない。
道は緩やかなカーブを繰り返してとっても楽しいのだけど、店なんてどこにもない。

走りながら写真を撮ってみる
0904阿武隈ライン1400.JPG

「何もない。ライン下りの乗り場は向こう岸やったし・・・。」
進むにつれて道も細くなり、時折すれ違う対向車がいて、
「良かった、この道は続いているんや。」と安心するくらいに頼りない道になる。

そんな折に見つけたのが、

「桃直売」

の看板。

「土産」とか「お食事」の文字は一切なく、「桃直売」の看板だけ。


農家の無人販売かもしれない、しかし、自分の第六感が「ここや!」と告げたのだ。
見上げた建物のテラスが休憩所っぽく見えた、休憩所があるなら食べ物も売っているに違いない!

看板に従って急坂を上がった先にあったのは、地元農家の販売所。

あがらいん伊達屋
0906あがらいん伊達屋1441.JPG
当然ツーリングマップルには載っておらず、後からきた地元ライダーの人に「よくここを見つけたね!」と感心されてしまった。

自分の直感は、良くも悪くも外れる。
残念ながら、「食事」と呼べるほどの食べ物はなかった。おにぎりは売り切れてたし。
でも、残っていたパンはとても美味しかったし、古代米を使った甘酒には言い知れぬパワーをもらった。

しかも、扱っている地元の果物とか野菜とか、信じられないくらいに安かった。
まさに自分らの「ツボ」だった。

「少し休憩したらすぐ出発」の予定なんか完全に頭からぶっ飛んで、土産選びに没頭するカミさん。

宅急便で送ったお土産 受け取れば旅の思い出
0906お土産.JPG

通り過ぎるだけなんて勿体無い! 阿武隈川をバックに。
0907阿武隈川と1517.JPG

阿武隈ラインを抜ける頃には随分と日が傾き出していた。
「こりゃ、日が沈む前に宿につくのは無理だな。」と確信する。

~磐梯吾妻スカイライン~
スマートフォンのグーグルマップを駆使して、飯坂温泉郷を抜けた頃には既に16時過ぎ。

「磐梯吾妻スカイライン」の標識を目にして、「やっとここまで来たか。」と、ほっとしたのも束の間。
晴れ渡っていた空がいつのまにやらどんよりと曇り、今にも降り出しそうな気配。

追い打ちをかけるように電光掲示板には「磐梯吾妻スカイライン 7時~17時」の文字が・・・。

「スカイラインって、24時間走れるんじゃなかったの?!」
「17時までにゲートをくぐればいいはず!」
引き返すか迷いながらも先を急ぐ。

16時45分。ホテルが立ち並ぶ区域を抜けた先、無情にもゲートが閉まりかけ、その横で係員が手を振っている。

「時間切れですか?」
正確には定刻に間に合わなかったのであり、持ち時間が尽きたのではない、でも、心境としては「時間切れ」だった。

ここまで来て引き返すのか、またルートを考えなければ、と、既に諦めた自分に係員の人が

「火山ガスの影響で時間制限してるから、止まらずに走り抜けるならいいよ。」だって!

もちろん、「止まりません、走り抜けます!」と、返事もそこそこに走り出す。

が、雨雲に包まれた磐梯吾妻スカイラインは甘くなかった。

ガスで視界が効かない中を進む。誰もいない。磐梯吾妻スカイラインを貸切って、すごい贅沢?! なんにも見えないけど。

ガスっていて視界悪し
0908霧のスカイライン1700.JPG

標高が上がるにつれて気温は下がり、メッシュジャケットでは寒くなってくる。
下半身も寒い。そういや革パンって保温性が全然ないんだった、と身に沁みて実感する。

0909浄土平にて1710.JPG
誰もいない、休憩所のゲートも封鎖された浄土平で一息ついてカッパを着込む。
自分は冷えて仕方ないのに、メッシュジャケットにメッシュの革パンのカミさんは「冷たくて気持ちいい」だって。
皮下脂肪の厚さの違いか?

下り出すとガスも晴れてきて絶景が広がる
絶景.JPG

が、立ち止まるとパトロールの人が追いついてきて
「止まらないで下さーい」と追い立てられるので、落ち着いて景色を楽しめなかった。
ま、仕方ないんだけど・・・。

磐梯吾妻ラインを抜けて、コンビニで一息着いた時はすっかり日が沈んでる。

「1時間毎に休憩したい」なんてカミさんは言ってたけど、阿武隈ラインで休んでから3時間以上は経ってる。
ここまで休憩なしで走ってこられたのは、古代米甘酒の効果に違いない!

ここにきてカミさんのiPHONEのバッテリーが切れかける。
「モバイルバッテリーを忘れた! 折角充電したのに・・・。私ってドジ」と自らに呆れながら新たに充電池を買うカミサン。
「これで、あとでバッテリーが見つかったら、2重にドジだね。」と笑う自分。

本来のルートでは下道のみで走る予定だったけど、それでは更に遅くなる、ということで磐梯吾妻自動車道を使うことに。

猪苗代磐梯高原から会津若松までを走ったけど怖かった!
殆ど照明が無い上に高速道の割には道が曲がりくねっていて、全然気が休まらない。
会津若松の標識が見えたときは本当にホッとした。東北道の10時間よりも疲れた気がした。

~会津野YH~
会津若松ICを降りたときは、今日のツーリングは殆ど終わったと思った。でも、大甘だった。
今日の試練はここからだったのだ。

「ICを降りて国道を進んだら、一つ目の信号を左に曲がって真っ直ぐ。信号のある交差点も真っ直ぐ」
で、いいはずだった。

なのに、一つ目の信号を左に曲がって真っ直ぐ進んだらT字路になってた。直進路もあるけど、民家につながってるみたい。

カミさんがスマホを使って現在位置を調べる。
隣に行こうと足でバイクを漕いで近づくと、右足が地面につかない!

田んぼに近づき過ぎてしまい、斜面になっていたようだ。
必死になってバランスを立て直し、なんとか持ちこたえる。
あのまま田んぼに倒れていたら、バイクに挟まれ、最悪は泥に埋まって溺れ死んでいたかも・・・。
今回のツーリングで一番焦った出来事だった。

これ、ZZR1100だったら間違いなく倒れてた。KLX250で良かった~。

なんとか現在位置を割り出して、カミさんが先頭を走ってYHを目指す。
当初のルートにも乗って走るけど、何しろ周りは真っ暗で何も見えない。

かなりYHに近づいたと思ったところで、
「わたし、YHにたどり着けないかもしれない!」
と、カミさんがまさかの弱音を吐く。

ここで一緒にオロオロしても状況は悪化するばかりと判断し、なんの根拠もないけど
「あと少しだから大丈夫、とりあえず自分が先を走るから」
と、先頭を交代して走り出す。この時既に20時。
やっぱり知らない土地は日が暮れてから走るべきではないのだ。今更だけど。

道なりに走ってチェックポイント(?)の踏切を越えたところでバトンタッチ。

落ち着きを取り戻したカミさんが先導して、なんとか会津野YHにたどり着いたのであった。

本当にホッとした。
思い返しても長い1日だったと思う。
冗談でも誇張でもなく、630キロ走った初日よりも疲れた・・・。

0910YH到着2007.JPG

因みに、家に忘れてきたと思ったモバイルバッテリーはYHで荷解きしたら見つかり、自らのドジっ子ぶりを三段活用ばりに示したカミさんなのであった。
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